現金決済よりもキャッシュレス決済を利用する消費者が増加し、世界の決済業界は劇的な変革を迫られています。オープンファイナンスや即時決済に象徴されるような、業界を支援する規制と革新的な取り組みの二者が、この変革に重要な役割を担っています。
20周年記念号となる「World Payments Report 2025」では、保険・小売・自動車の3つの業界の企業財務担当者600名の見解を反映しています。さらに大手銀行(Tier1およびTier2)、金融サービス機関、決済サービスプロバイダー、業界団体、米州・欧州・アジア太平洋/中東の各地域を代表する中央銀行の、200名超の決済担当幹部を対象に行ったフォーカスグループインタビューや調査結果から得た、決済に関するインサイトを紹介しています。主な調査結果は以下の通りです。
- 銀行は既存のグローバル決済による収益源を確保しつつ、マルチレール決済の採用を促進する必要がある。同時にオープンファイナンスを活用した革新的な即時決済サービスの検討も必要だ。
- 現行の法人向けトランザクションバンキングならびに法人向けキャッシュマネジメントサービス(CMS)は、期待を満たしていない。決済サービスプロバイダー(PSP)は、リアルタイム決済ソリューションとリアルタイムの現金可視化に取り組み、業務効率化が促進されるよう支援すべきだ。
- 一時しのぎの戦術的な調整は止めて、競争優位性を維持し収益性の高い長期的な成長促進を目的とした、大局的な戦略転換を図るべきだ。
即時決済革命に備える
本レポートでは、銀行ならびに決済サービスプロバイダーが、顧客の期待に応え、さらには期待を上回るサービスを提供して収益性を高めるためにどうあるべきかについて、以下のようなインサイトと戦略を解説しています。
- オープンファイナンスと即時決済の両方を採用し、相乗効果を促進しながら、必要な投資資金を調達するためのビジネスケースを構築する。
- アジリティを最優先する。コンポーザブルなクラウドプラットフォームは、柔軟性と拡張性に優れており変革の推進に有用だ。
- 革新的で適応性が高く、さまざまな商品を横断的に扱うことのできる、マルチレールな「バリュープロポジション」を創出し、優れた顧客体験を提供する。