新たな同意管理プラットフォームの導入により、法令遵守を超えたパーソナライズ施策の実現へ
クライアントの課題 :グローバルに展開する大手銀行は、複数の地域に対応した大規模な同意管理と、パーソナライズされた顧客体験の実現を求めていました。
ソリューション:キャップジェミニは、銀行がユーザー同意データに基づいてパーソナライズされた最適なオファーを行えるよう、25のウェブサイト、4つのモバイルアプリ・ウェブアプリにクッキーベースの同意管理プラットフォームを導入する支援を行いました。
成果:
- 17か国以上・25のウェブサイトにわたる同意管理を最適化
- ユーザーインターフェースを改善し、同意をより意識的な行動に
- クッキーおよびデータ収集ポリシーの可視化により透明性を強化
- ユーザー同意とデータ収集に関するPECR(プライバシーと電子通信規則)要件への対応
- パーソナライズされたオファーと顧客対応の基盤を構築し、ビジネス成長を加速
同意管理の再構築
銀行業界がデジタル化を加速させる中で、特に課題となっているのが効果的な同意取得の仕組みの構築です。地域ごとの規制に違反すれば、重大な罰則が科される可能性があり、ユーザーにはデータの利用目的を明確に伝え、同意を得る必要があります。しかし、市場にある既存ツールは柔軟性に欠け、導入には高度な知識と経験が求められるのが現状です。
ヨーロッパ最大級の金融投資会社のひとつである多国籍投資銀行は、同意管理システムの改善を決定しました。世界60以上の国と地域に拠点を持つ同社にとって、柔軟性が高く、容易に適応できるソリューションが求められていました。
PECR(プライバシーと電子通信規則)によってプライバシーとデータに関する規制が強化され、ユーザーが自身の情報をよりコントロールできるようになったことを受け、銀行はクッキーを通じて、データの利用および収集に関する明確で透明性のあるユーザー同意を取得したいと考えていました。また、同社は世界中の多くの地域で事業を展開しており、その規模と地域ごとの複雑な要件を踏まえ、こうした取り組みを支援できるパートナーとの連携を決断しました。
オンラインユーザーの選択肢の拡大
キャップジェミニは、銀行の既存の同意管理体制に対して厳格なクッキー監査を実施しました。この分析は、EMEAおよび英国を含む複数の地域にまたがる多様な規制を対象とし、関連するすべての法令を特定しました。
ギャップ分析により、改善すべき領域が明確になり、銀行は最適なソリューションの検討を進めるための指針を得ました。このアプローチでは、既存のクッキーモデル、クッキーノーティス、ユーザー同意の取得方法など、関連する要素も包括的に評価されました。その結果、パートナー企業はTealiumという堅牢な同意管理プラットフォームを導入することを決定。これにより、特定された課題への対応、地域ごとの法令遵守、そして透明性の高い同意取得が可能となりました。
さらに銀行とキャプジェミニは協力して、フロントエンドのモデルを構築し、全体的な同意戦略に沿ったプロンプトを作成しました。具体的には、クッキー名の代わりにベンダー名を表示することで、ユーザーが自身のデータをより適切に管理できるよう配慮しつつ、透明性も確保しました。最終的に、ユーザー同意と法令遵守はパーソナライズ実現の基盤である中、このソリューションの円滑な導入によって、銀行のデジタルエコシステムはさらに強化されました。
同意・プライバシー・顧客体験を重視することでブランドを強化
新しい同意管理プラットフォームは、25の公共ウェブサイト、4つのモバイルアプリ、4つのウェブアプリに展開され、欧州各地で使用されました。キャップジェミニの変革的なソリューションにより、目立たなかった従来のクッキーバナーは、視認性の高いモーダルウィンドウに置き換えられました。この新しいデザインにより、ユーザーはウェブサイト訪問の初期段階から同意オプションに積極的に関与できるようになりました。
これらの改善により、ユーザー同意の透明性と法令遵守のための包括的なソリューションが提供され、銀行のデジタルエコシステムが強化されました。同意を「意識的な行動」として促すことで、ユーザーに主導権を与え、信頼関係の構築にもつながりました。さらに、モーダルウィンドウで提供された明確で簡潔な情報とベンダーの開示により、透明性が向上しました。これにより、銀行はプライバシー意識の高いブランドイメージを構築し、ユーザーの信頼を強化しました。
このソリューションの導入により、銀行はユーザーの同意データを活用して、より高度にパーソナライズされた体験を創出できる体制を整えました。これにより、現在のユーザー体験が向上すると同時に、将来的なターゲティング施策の精度も高まることが期待されています。
特に重要なのは、この取り組みがPECR(プライバシーと電子通信規則)への準拠を確実にし、規制リスクを軽減するとともに、プライバシー重視の将来に向けた体制を整えた点です。
さらに、この基盤は今後数年間にわたるパーソナライゼーションの進化を支える土台となり、カスタマーサポートからオファー提供に至るまで、銀行のエコシステム全体を革新する可能性を秘めています。