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World Life Insurance Report 2025

生命保険業界の動向に関するワールドレポート 2025

顧客体験のギャップを埋める:生命保険が引き続き顧客にとって価値ある存在であるための徹底した顧客中心アプローチ

現在、生命保険会社は、成熟した市場における契約者数の減少に直面しています。多くの消費者は、従来の生命保険商品にはほとんど関心がありません。業界は、生命保険における新しく高度な顧客体験(CX)への期待に応えるのが難しく、特に古い技術が変革を実現する上で大きな障害となっています。

「World Life Insurance Report 2025(ワールド・ライフインシュランス・レポート2025:2025年 生命保険業界の動向に関するワールドレポート)」は、18か国の生命保険契約者6,186名と、16市場の大手生命保険会社の経営幹部213名を対象にインタビューを行い、その調査結果を反映しています。本調査は、アメリカ大陸、ヨーロッパ、アジア太平洋地域を含む全地域にて実施されました。

本レポートの生命保険業界分析によると、世界の生命保険会社のうち、わずか5%1が定量的に優れた顧客体験を提供し、「クラス最高」の地位を獲得していることが示されています。一般的な生命保険会社が、このような成果を上げるためには、以下を実行することが推奨されています。

  • カスタマージャーニーの各段階(商品提供、オンボーディング(新規契約者の受け入れ)、サービス提供、保険金請求)において契約者の不満を解消するため、顧客体験を改善する。
  • 先進技術を活用して、レガシーシステムの近代化、データ管理の効率化、生成AIの導入を進める。
  • 顧客中心の文化を推進し、バリューチェーン全体での効率向上を図るために、人材育成とパートナーシップ強化に取り組む。

当社の分析によると、「クラス最高」の保険会社は、高度な機能を開発するだけでなく、それを具体的なビジネス成果に結びつけています。業界全体と比較して、顧客満足度の向上、運用コストの削減、収益成長の強化において常に一般的な保険会社を上回っており、顧客体験の向上が実際のビジネスの成功に繋がっていることが示されています。

World Life Insurance Report 2025 のハイライト

ハイライト1 

古い技術が生命保険会社の足かせに 

生命保険会社は、顧客体験の向上を妨げるいくつかの内部的な課題を抱えており、その中でも、古い技術が52%の生命保険会社にとって大きな障害となっています。また、レガシーシステムの柔軟性の欠如が、先進技術の導入を難しくし、生命保険の顧客体験におけるイノベーションを阻んでいます。さらに、ますます複雑化する規制も、課題を一層厳しくしています 

生命保険会社はオンボーディング(新規契約者の受け入れ)、サービス提供、保険金請求/解約手続きのプロセス改善に苦労している

顧客体験の向上を目指す生命保険会社にとって、オンボーディング(新規契約者の受け入れ)、サービス提供、保険金請求や解約手続きのプロセスの改革は不可欠です。多くの保険会社は、業務プロセスの自動化(レベル1)を実現し、タスクのデジタル化を進めていますが、一部の企業は企業全体のプロセス再設計(レベル2)し、組織間の連携を作り出しています。さらに、統合されたエコシステム(レベル3)を開発し、シームレスでパーソナライズされた体験を提供している企業は、まだほんの少数にとどまっています。 

生命保険契約のライフサイクルにおける顧客が直面する主な課題トップ3 

顧客体験を競争上の弱点から戦略的な強みに変えるために、保険会社は重要なタッチポイントで顧客中心の戦略に再注力することができます。具体的には以下のアプローチが挙げられます:

  • 複雑な用語や不明確な利益に戸惑う顧客への対応として、オンボーディング(新規契約者の受け入れ)を最適化する。
  • サポートの長い待ち時間に不満を持つ顧客への対応として、セルフサービス機能を強化する。 
  • 請求状況が不明瞭であることに懸念を抱く契約者や受取人に対応するため、感情的な配慮と専門的な知識を組み合わせた請求対応を実現する。 

トップクラスの生命保険会社が生み出すビジネス成果 

生命保険会社のうち、わずか5%が卓越した顧客体験を提供し、トップクラスの地位を獲得しています。これらの企業は、一般的な保険会社と比較して、オンボーディング新規契約者の受け入れ)、セルフサービス、請求対応の能力で優れており、それがビジネス成果に直結しています。具体的には、ネットプロモータースコア(NPS)が38%高く、経費率が11%低いという結果を達成しています。さらに、過去3年間で業界平均を6%上回る成長率を記録しています。 

World Life Insurance Report 2023  (ワールド・ライフインシュランス・レポート2023:2023年 生命保険業界動向に関するワールドレポート)
World Life and Health Insurance Report 2022(ワールド・ライフ&インシュランス・レポート2022:2022年 生命・医療保険業界動向に関するワールドレポート)

本レポートは一般的な情報提供を目的としたもので、法律、税務、投資、財務、または専門的なアドバイスを意図したものではありません。キャップジェミニは、本資料の誤謬、脱漏、またはかかる内容を利用して得られた結果について一切の責任を負いません。本レポートは情報提供のみを目的としており、読者の特定のニーズに対応するものではありません。当社は、翻訳上の不正確性・完全性を保証するものではなく、いかなる保証もなく情報は「現状有姿」で提供されます。本情報に依拠したことから生じるいかなる損失に対しても責任を負いません。 

1. Capgemini Research Institute for Financial Services analysis, 2024.

Customer first

World Life Insurance Report 2026

生命保険業界の動向に関するワールドレポート 2026

「生命保険」から「生活保険」へ 

―40歳未満世代にとっての“保険の意味”を再考する― 

長期的な人口動態の変化、マクロ経済の課題、そして消費者の期待の変化により、生命保険業界は大きな転換期を迎えています。過去15年間で、個人の投資ポートフォリオに占める生命保険資産の割合は23%も減少しました。今後についても、2040年までの世界の生命保険料の年平均成長率はわずか0.9%と予測されています。

「World Life Insurance Report 2026(ワールド・ライフインシュランス・レポート2026:2026年 生命保険業界の動向に関するワールドレポート)」では、18か国・3地域(アメリカ大陸、ヨーロッパ、アジア太平洋地域)にわたる40歳未満の生命保険契約者6,176名と、大手生命保険会社の経営幹部200名を対象にインタビューを行い、業界の現状と未来を分析しています。また、世界的なマクロ経済予測機関との連携により、経済環境の見通しも反映しています。

今日、生命保険市場における最大の成長機会は、「生活のための保険」にあります。つまり、契約者の人生において、今すぐに実感できる価値を提供する保険です。これは、今後資産を築いていく若年層にとって特に重要であり、彼らは保険金請求のリスクが低く、魅力的な顧客層でもあります。

この若年層との関係を深め、将来的な収益成長を実現するために、キャップジェミニのWorld Life Insurance Report 2026では以下の3つの重点領域に注目することを推奨しています。

  • 新たな競争環境への対応
    40歳未満の世代が求める即時性のある価値と自己管理性をすでに提供している他の金融機関やウェルネスプラットフォームに遅れを取らないよう対応が求められています。
  • 保険商品を“ソリューション”として再構築
    リテール向け・団体向けの両方で、生活に役立つベネフィットや柔軟性を組み込んだ商品設計が必要です。
  • 保険の販売を“エンゲージメント”へと再定義
    デジタルの利便性と人の専門性を融合させたハイブリッド型のアドバイザリーモデルが、若年層との継続的な関係構築に効果的です。

生命保険業界の変革は、もはや選択肢ではなく“必須”です。顧客の期待、組織の能力、競争優位性に対応する先行企業やアーリーアダプターは、あらゆる競合から市場シェアを奪還するでしょう。さらに、彼らは40歳未満の消費者が資産を形成していく過程で、長期的な保険契約者との関係を築くことで、業界をリードする存在となるはずです。

Millennials and Gen Z redefine milestones with new life choices

Younger generations are reshaping adulthood by delaying traditions like marriage and parenthood while embracing flexible lifestyles.

『World Life Insurance Report 2026』ハイライト 

Highlight 1

人口構造の変化が従来型の生命保険モデルに影響 

2050年には世界人口の22%が60歳以上となり、2025年の15%から大幅に増加します。一方、若年層(40歳未満)は全体の42%にとどまり、2025年から2050年にかけて絶対数が横ばいとなる見込みです。これは近代史上初の現象であり、経済や社会構造に大きな影響を与えると予測されています。 

40歳未満層は「生活保障」に明確なニーズ 

若年層は「死亡時の保障」だけでなく、人生の各段階で価値をもたらす金融ツールを求めています。生活保障(Living Benefits)は、生命保険を「加入して終わり」の商品から、健康的な生活を支える“アクティブな金融ツール”へと進化させる鍵です。特に、ライフイベントに応じた柔軟な保障、ウェルネス支援、重大疾病時のサポートなどが高く評価されています。 

若年層に向けた差別化成長戦略の推進 

成長を再加速するために、保険会社は以下の3つの重点領域に注力する必要があります。

  • 新たな競争環境への対応 組み込み型保険(Embedded Insurance)を活用し、40歳未満の世代が求める「即時性」と「自己管理性」をすでに提供している他の金融機関やウェルネスプラットフォームに遅れを取らないよう、迅速な対応。
  • 保険商品を“ソリューション”として再構築  生活保障の組み込み、柔軟な保障設計、ポータビリティ(持ち運び可能性)を通じて、加入促進と長期的なロイヤルティを獲得。 
  • 販売チャネルを“エンゲージメント”へ再定義 デジタルの利便性と人の専門性を融合したハイブリッド型アドバイザリーモデルで、継続的な顧客関係を構築。 

“生活のための保険”という大胆なビジョンの実現へ 

この新しいビジョンを実現するには、以下の3つの重点施策に取り組む必要があります 

  • 柔軟でモジュール型の保険商品の開発  生活保障を中心に据え、引受プロセスの簡素化、価格のパーソナライズ、ゲーミフィケーションによるエンゲージメントを促進。 
  • 代理店のアドバイザリー能力の強化 AIツールや顧客インサイトを活用し、チャネルを問わずシームレスにパーソナライズされた提案を提供。 
  • エコシステム戦略の立案と実行  金融機関、ウェルネス企業、HRプラットフォームなどと連携し、生命保険を日常体験に自然に組み込む。

関連資料 

1. Oxford Economics、キャップジェミニの金融サービス分析部門による調査(2025年) 

本レポートは一般的な情報提供を目的としたもので、法律、税務、投資、財務、または専門的なアドバイスを意図したものではありません。キャップジェミニは、本資料の誤謬、脱漏、またはかかる内容を利用して得られた結果について一切の責任を負いません。本レポートは情報提供のみを目的としており、読者の特定のニーズに対応するものではありません。当社は、翻訳上の不正確性・完全性を保証するものではなく、いかなる保証もなく情報は「現状有姿」で提供されます。本情報に依拠したことから生じるいかなる損失に対しても責任を負いません。  

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