ものづくりから価値づくりへ:ソフトウェアが主役
現在、自動車業界はソフトウェアの変革的な可能性を本格的に実現する動きの真っただ中にあります。世界の87%の企業が、今後5年間でソフトウェアが競争優位性の最も重要な源になると認識しています。かつては理想とされていた「業界の話題になるモビリティ体験」が、今や手の届くところにあります。
日本ではすでにこの変化が見られます。自動車OEMは、ソフトウェアをイノベーションと長期的競争力の中心に据えています。実際、日本企業の91%が、将来の価値提案の核は物理的な車両だけでなく、ソフトウェア定義型の製品やサービスになると考えています。
しかし、ビジョンと実行の間には、コンセプトカーの約束と認証済みの現実との間以上のギャップがあります。この溝を埋めるには、ソフトウェア駆動型車両とソフトウェア駆動型モビリティ(SDM)という2つの異なるパラダイムを理解することが不可欠です。前者は、ハードウェアに依存しないソフトウェア、仮想化、オンボードとオフボードシステム間の動的オーケストレーションによって、車両を柔軟で知的なプラットフォームに変えることに焦点を当てます。後者は、この変革を接続されたエコシステムに拡張し、車両、エッジ、クラウドプラットフォームがAIとリアルタイムデータを活用して協調する世界を目指します。
フルスケール展開は産業全体で14%に留まり、日本勢でも「全社共通プラットフォーム+量産スケール」まで到達した事例は端緒段階です。 また、収益モデルの踏み込み度合いも、一部の自動車OEMが有料機能やサブスクリプションを明示している中で、安全・開発効率/品質重視のメッセージが強く、ソフトウェア収益化の対外発信は相対的に控えめな状態であるのも、実態です。
成功の鍵は「マインドセットの転換」
技術的な野心を超えて、成功には古くからの命題が必要です。それは「考え方の転換」です。従来の自動車メーカーは、バリューチェーン全体でよりソフトウェア中心のアプローチを採用する圧力にさらされています。日本の自動車企業の74%は、ソフトウェア開発、車載機能、モビリティサービスへのAI統合が業界のダイナミクスを再定義すると考えています。 そのような中でも、単なる法規対応ではなく、ブランド価値として「安心」を訴求し、安全を差別化要素に、グローバル規制への先取り対応した国際基準を超えた独自基準を策定は、信頼を獲得は必要要件になります。
日本企業が直面する課題
調査で明らかになった主な構造的・運用上の課題は以下の通りです:
- レガシーソフトウェアシステム(91%)
- サイロ化された業務(91%)
- バリューチェーン全体を巻き込んだセキュリティ要件と機能安全の確保(92%)
- 熟練人材の不足(96%)
- コンプライアンスの複雑さ(83%)
- 脆弱性スキャンプロセスの継続性(73%)
- 全社的なソフトウェア開発部門の欠如(91%)
- AIの安全性評価 (74%)
これらのギャップを認識することで、日本は焦点を絞った前進の道筋を描いています。
戦略的な5つの必須事項
- サイバーセキュリティを基盤から優先する
車両が高度に接続されデータリッチになるにつれ、サイバーセキュリティは設計から運用までライフサイクル全体に組み込む必要があります。脆弱性スキャンの継続的実施、グローバル規制への対応、ソフトウェアの実行前の完全性確保が不可欠です。日本企業の87%がすでに車載システムにサイバーセキュリティを統合し、65%がAI駆動型セキュリティを検討しています。 - データに耳を傾ける
パーソナライゼーションが鍵です。OTA(Over-the-Air)やFOTA(Firmware Over-the-Air)機能を優先し、機能追加やUI改善を俊敏に実現することが重要です。 安全機能を「体験価値」として見せる(例:予防安全の可視化、パーソナライズされた警告)為にユーザー中心設計を行う。 走行データ・ユーザー行動データを活用し、予防安全機能を継続的にアップデート。 更には、車両状態をクラウドでシミュレーションし、故障予兆を検知することで安心感を強化なでも打ち手の一つです。 - 機能安全とソフトウェア複雑性の両立
SDV化に伴い、ソフトウェア規模(SLOC)が急増。ISO 26262やUN R155/R156対応を超えた、動的な安全保証が必要。 開発・テスト・運用の全工程でセキュリティと品質を統合し、継続的な脆弱性スキャンを実施。 - AIなどの新技術を積極活用する
デジタルツイン、生成AI、AI支援設計などの技術を取り入れることで、ソフトウェア品質、テスト効率、市場投入までの時間を大幅に改善できます。日本企業の74%がAIの変革力を認識しており、実験段階を超える時期は今です。
気を付ける点として、AIの安全性評価つまり認識モデルや生成AIの活用において、誤検知・バイアス・説明可能性を担保する仕組みが重要です。
結論
「共通プラットフォーム+クラウド連携+AI+OTA」は各社が取り組むコアな取り組みであり、日本勢の強みである安全/品質に、AIなど新技術を活用したソフトウェア工学をさらに適用することでスケール加速が見込めます。 安全・安心は単なる法規対応ではなく、組織文化・運用プロセス・データ戦略を統合した「競争優位の源泉」として位置づけることが重要。
SDMは日本の自動車企業の事業モデルに大きな影響を与え、78%が革新的な製品・サービスの投入能力を高めると予測しています。“組織/プラットフォーム/デリバリ”の三位一体設計が有効と考えられます。ソフトウェアはもはや未来の話ではなく、今すぐ迅速かつ的確な意思決定が求められています。技術革新のスピードを考えれば、5年はもはや「半世紀」ではなく「瞬き」です。
すべては「テクノロジーによって人間のエネルギーを解き放ち、包摂的で持続可能な未来を」という、キャップジェミニのミッション・ステートメントに帰結します。日本企業は、強い意志と断固たるアクション (プロセス見直し、働き方改革、ガバナンス) によって、構想を実装につなげ(Make It Real – キャップジェミニの新ブランド・スローガン)られるのです。ご自身の企業や組織が、このトランスフォーメーションをどのようにリードできるのかにご興味がある方は、フルレポート “Software-defined vehicles for the commercial vehicle market (英語版)” をぜひダウンロードしてください。
