「生命保険」から「生活保険」へ
―40歳未満世代にとっての“保険の意味”を再考する―
長期的な人口動態の変化、マクロ経済の課題、そして消費者の期待の変化により、生命保険業界は大きな転換期を迎えています。過去15年間で、個人の投資ポートフォリオに占める生命保険資産の割合は23%も減少しました。今後についても、2040年までの世界の生命保険料の年平均成長率はわずか0.9%と予測されています。
「World Life Insurance Report 2026(ワールド・ライフインシュランス・レポート2026:2026年 生命保険業界の動向に関するワールドレポート)」では、18か国・3地域(アメリカ大陸、ヨーロッパ、アジア太平洋地域)にわたる40歳未満の生命保険契約者6,176名と、大手生命保険会社の経営幹部200名を対象にインタビューを行い、業界の現状と未来を分析しています。また、世界的なマクロ経済予測機関との連携により、経済環境の見通しも反映しています。
今日、生命保険市場における最大の成長機会は、「生活のための保険」にあります。つまり、契約者の人生において、今すぐに実感できる価値を提供する保険です。これは、今後資産を築いていく若年層にとって特に重要であり、彼らは保険金請求のリスクが低く、魅力的な顧客層でもあります。
この若年層との関係を深め、将来的な収益成長を実現するために、キャップジェミニのWorld Life Insurance Report 2026では以下の3つの重点領域に注目することを推奨しています。
- 新たな競争環境への対応
40歳未満の世代が求める即時性のある価値と自己管理性をすでに提供している他の金融機関やウェルネスプラットフォームに遅れを取らないよう、迅速に対応。 - 保険商品を“ソリューション”として再構築
リテール向け・団体向けの保険商品に、生活保障や柔軟性を組み込んだ商品設計。 - 保険の販売を“エンゲージメント”へと再定義
デジタルの利便性と人の専門性を融合したハイブリッド型アドバイザリーモデルで、継続的な顧客関係を構築。
生命保険業界の変革は、もはや選択肢ではなく“必須”です。顧客の期待、組織の能力、競争優位性に対応する先行企業やアーリーアダプターは、あらゆる競合から市場シェアを奪還するでしょう。さらに、彼らは40歳未満の消費者が資産を形成していく過程で、長期的な保険契約者との関係を築くことで、業界をリードする存在となるはずです。