キャップジェミニの調査レポート:自動車関連企業がスマートファクトリーのポテンシャルを最大化するためには

自動車業界は、1,600億ドルを超える生産性の向上に照準を合わせ、スマートファクトリーへの投資の加速を開始

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自動車業界は、今後5年間で工場の44%をスマート化する計画、しかし、企業がこの計画を最大限に活用するためには、スキルとシステムへの投資も必要

202025日:パリ発】

キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュートの最新レポートによれば、自動車産業はスマートファクトリーの採用において他の業界よりも進んでおり、今後3年間で投資を60%以上増額して、1,600億ドル以上の生産性向上を目指しています。

今回のレポート、『How automotive organizations can maximize the smart factory potential(自動車関連企業)』では、2019年の自動車OEMおよびサプライヤーによるスマートファクトリーの展開を、2017/18年に実施した同様の調査と比較しながら追跡しています。今回の調査によれば、スマートファクトリーに関連して計画された投資レベルと生産性の向上はいずれも非常に大きなものではありますが、大規模展開を通じてアドバンテージを得る準備が整っている自動車関連企業は少数にとどまっています。当社の分析の結果、自動車関連企業の72%が「初心者[1] 」ランクにあり、スマートファクトリーの大規模展開のポテンシャルをフルに実現する準備が整っている「フロントランナー[2] 」にランク付けされた自動車関連企業はわずか10%(OEMでは18%がフロントランナー、これに対しサプライヤーは8%)にとどまりました。

今回のレポートのキーポイントは、以下のとおり:

自動車産業は、スマートファクトリーの開発において、前回の期待を上回る成果を出した

過去18〜24か月間で自動車業界のファクトリーの30%がスマート化[3]されました。これは2017/18年の調査でエグゼクティブたちが言及した24%を上回っています。また、エグゼクティブのほぼ半数(48%)が、自社のスマートファクトリーのロードマップの進捗について「うまくいっている、または予想以上」と考えています(18ヶ月前の調査で「うまくいっている、または予想以上」と回答したエグゼクティブは38%でした)。

インド最大級の大型車両メーカー、Ashok Leyland社のPresident, New Technologies and Business Initiatives、Seshu Bhagavatula氏のコメント:当社がスマートファクトリーイニシアチブに着手した3つの主な理由 - まず第一に、当社の旧式工場オペレーションの近代化とデジタル化を通して、その生産性を向上させるため、第二の理由は、人間では検出が困難な品質問題に対処するため、そして第三の理由は、注文生産またはマスカスタマイゼーションの能力を組み込むためです。これらのすべてが当社の大規模社内戦略プログラムであるModular Business Programの一部を形作っています。

自動車業界は他業界よりも速く動いている

自動車業界は、今後5年間でさらにファクトリーの44%をスマート施設に転換する積極的な計画を立てています。自動車業界に続いて、ディスクリート製造で42%、プロセス産業で41%、電力・エネルギー&ユーティリティで40%、そして消費財で37%がスマート化を計画しています。この積極的な拡大は、全収益におけるスマートファクトリー向け投資の割合を62%増やすという計画に反映されています。自動車関連企業は、グリーンフィールド施設とブラウンフィールド施設の組み合わせに投資していくようで、44%がハイブリッドなアプローチの採用、31%がブラウンフィールドファクトリーの建設(トップテンOEMの場合、1施設あたりのコストは推定400万~740万米ドル)、25%がグリーンフィールド(1工場あたりのコストは推定10億~13億米ドル)を予定しています。グリーンフィールド施設のコストはかなり高額ですが、設計による効率化の実現は他より容易です。

スマートファクトリーへの投資は生産性の大きな機会をもたらす

今回の調査では、スマートファクトリーは2023年までに1,350億ドル(平均的シナリオ)から1,670億ドル(楽観的シナリオ)の範囲で生産性の向上を実現だと予測しています。業界全体として年間2.8%から4.4%の改善、さらに全体的な生産性の向上が15.1%から24.1% - このような利益の可能性は、Mercedes-Benz Cars社[4]などの企業によってすでに実証されています。Mercedes-Benzは、高度なデータ分析を使用して自己学習および自己最適化生産システムを構築することにより、一部の主要コンポーネントのしました。

キャップジェミニ、オートモーティブセクターのグローバルヘッド、Markus Winklerのコメント:多くの自動車企業は過去2年間、それぞれのスマートファクトリーイニシアチブを進めてきました。また、今後さらに速いペースで採用を進めていくための明確なプランもあります。現在、自動車OEMならびにサプライヤーは、非常に多額の投資を行っており、2023年までにはこれらの投資が年間少なくとも2.8%から4.4%の生産性向上を実現して、企業に利益をもたらすことが期待できます。ただそのためには、自動車企業は人材プールや技術戦略、企業規模でのコミットメントにおけるギャップに対処して大規模展開を実現し、スマートファクトリーが提供する利益をフルに実現する必要があります。スマートファクトリーはインテリジェントインダストリーには不可欠ですが、OEMやサプライヤーは、さまざまな技術のポテンシャルを完全に解き放つために、スマート資産管理やスマートサプライチェーンをはじめとするスマートオペレーションやサービス管理にもフォーカスする必要があります。

いまだ利益の実現には至らず・・・

自動車業界は、スマートファクトリーに厳しいKPIを設定しており、その達成までは長い道のりとなります。今回の調査では、35%の生産性向上の目標に対し、達成されたのはわずが15%のみです。総合設備効率(OEE)の改善(目標:38%)、在庫/仕掛品の削減(目標37%)もそれぞれ11%にとどまっています。これらの結果は、多くのイニシアチブの規模の拡大がいまだフルに実現されていないことを実証しています。

今回のレポートでは、自動車業界がスマートファクトリーを大規模展開するために、ビジョンを設定しそれにコミットし、ITソリューションの統合に懸命に取り組み、IT-OTの融合を強化することを勧めています。さらに、企業は将来のために人材ベースを構築し、データ駆動型オペレーションの文化をはぐくむ必要があると示唆しています。

レポートは、こちらからダウンロードできます。

調査方法:

今回のレポートを作成するにあたり、キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュートは以下を実施しました。

  • 大手自動車OEMおよびサプライヤーの自動車関連エグゼクティブ100名を対象に調査を実施。100名のうち98名は、11か国で既存のスマートファクトリーオペレーションを展開し、10億米ドル以上の収益を上げています。
  • スマートファクトリイニシアチブを監督する自動車関連シニアエグゼクティブたちと掘り下げたインタビューを10回実施。

 

キャップジェミニについて 

キャップジェミニは、コンサルティング、テクノロジーサービス、デジタルトランスフォーメーションのグローバルリーダーとして、イノベーションの最前線に立ち、進化を続けるクラウド、デジタル及び各種プラットフォーム分野で、顧客のあらゆるビジネス機会に対応致します。キャップジェミニは、50年にわたり蓄積してきた優れた実績と業界固有の専門知識を基に、戦略から運用まで、弊社の一連のサービスを通じて、顧客企業が目指すビジネスビジョンの実現をご支援致します。キャップジェミニの信念は、「テクノロジーに関わるビジネス価値は人を通じて具現化される」ことであり、この信念こそが弊社の原動力となっています。キャップジェミニは、世界40ケ国以上、20万人を超えるチームメンバーで構成される多文化企業です。キャップジェミニ・グループ全体の2018年度売上は、132億ユーロです。

キャップジェミニ株式会社については、以下をご覧ください。

https://www.capgemini.com/jp-jp/

People matter, results count.

 

キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュートについて 

キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュートは、デジタル全般に関するキャップジェミニの社内シンクタンクです。この組織は、大規模な従来型/既存のビジネスに対するデジタル技術の影響について調査し、その結果を公開しています。ここでは、チームがキャップジェミニのエキスパートたちによる世界規模でのネットワークを活用し、教育機関や技術パートナーたちと緊密に連携しています。キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュートは、インド、イギリスおよびアメリカに専用のリサーチセンターを開設しています。最近、独立系アナリスト企業からリサーチの品質を認められ、世界ナンバーワンの格付けを得ています。

キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュートについては、以下をご覧ください。

https://www.capgemini.com/jp-jp/capgemini-research-institute/

 

[1]「初心者」集団には、スマートファクトリーから価値を得る立場にない企業が含まれます。

[2]「フロントランナー」集団は、スマートファクトリートランスフォーメーションのすべての側面で、他のどのグループよりもパフォーマンスが優れています。

[3] スマートファクトリーは、デジタル技術を活用して、生産性、品質、柔軟性、サービスを大幅に改善します。3つのカギとなるデジタル技術がスマートファクトリーを実現します。コネクティビティ:たとえば、インダストリアルIoTを活用して、既存の装置ならびに新規センサーからデータを収集。インテリジェントオートメーション:たとえば、高度なロボット、マシンビジョン、分散制御、ドローン。クラウドスケールのデータ管理&データアナリティクス:たとえば、予測分析やAIの実装。これらのデジタル技術は、ITとOTの融合を通して、設計から運用まで、エンド・ツー・エンドのデジタル継続性をサポートします(デジタルツイン)。

[4]The smart factory: The completely networked value chain』、2019年12月11日閲覧

Infographic_Smart factories...

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