データイノベーションで変化を先駆け
近年、自動車業界は、データを活用して効率を向上させ、交通安全を強化し、イノベーティブな顧客サービスを提供することにますます注力しています。BMW Groupは、プレミアム自動車セグメントのリーダーとして、コネクテッドカーがもたらす新しい製品とサービスを促進するデータのポテンシャルを長年にわたって認識してきました。コネクテッドカーは、新しいモビリティセグメントに関するさまざまな機会を提示するだけでなく、自動車がディーラーや将来のドライバーに届くまでの流通プロセスを大幅に最適化します。BMW Groupは、最高水準のカスタマーサービスで定評のある有名な国際的OEMとして、車内で生成されたデータを活用して同社のグローバルな車両流通プロセスをサポートする方法を探していました。
大陸内、そして海を越えて車両を追跡
主な課題は、流通プロセスにおいて車両をシームレスに追跡できていないことでした。たとえば、海上輸送に車両追跡が導入されていなかったため、海上での物流に透明性がありませんでした。流通プロセスの中でより効果的な追跡が実現できなければ、ディーラーは車両の状態や位置に関する情報の受け取りに遅れが生じます。流通過程で得られる情報が非常に少ないということは、納期が予測できないということであり、これは顧客満足度に影響を及ぼす危険がありました。さらに、車両の状態に関する最新のステータス情報が入手できなければ、流通プロセス中に予知保全や整備を行うこともできません。同様に、最新の詳細データの欠如は、運用する流通プロセスにおける柔軟性と拡張性に制約を与えていました。
これらの課題に対処するためには、より適応性があり、スケーラブルで、安定性の高いロバストな技術ソリューションが必要でした。さまざまな規制や法的要件を考慮しながら国際的に展開しなければならないため、ソリューションにおける柔軟性が最重要課題となりました。こうした点を念頭に置いたうえで、ソリューションでは「納入車両の予測可能性と品質の向上」にフォーカスを定めました。
ハイパースケーラーソリューションで最大限 の柔軟性を 提供
キャップジェミニは、経験豊富なパートナーとして、BMW Groupがプロジェクトの初期段階で特定した課題への取り組みを支援しました。チームは、ビジネス固有のユースケースをサポート・促進するための新規ダッシュボードを導入また既存のダッシュボードを修正することで、現在の車両流通プラットフォームのレポートならびに監視機能を大幅に拡張しました。キャップジェミニは、AWS（ネイティブ）クラウドサービスへの移行の基盤として機能する最新のクラウドネイティブアーキテクチャを開発しました。
さらに、このプロジェクトは追加のデータ資産をBMW Groupに提供しました。これらのデータ資産は会社のデータ レイクに追加され、他の部門でのさらなるユースケースに利用することができます。また、GPSベースの車両の位置データとオペレーションシステムからの物流データを組み合わせて、独自のデータ資産を確立しました。これにより、BMW Groupは、在庫計算を含む流通プロセス全体を通じて、任意の時点での車両の最も正確な位置を把握できるようになりました。
複数のダッシュボードは、高度な意思決定を可能にし、流通プロセス全体の透明性を高めます。これらのダッシュボードにより、プラットフォームで処理したデータに基づいて、車両の品質と発生したサービスコストを効果的に管理することができるようになりました。キャップジェミニチームはDevOpsアプローチを使用して、テストの自動化とスケーラビリティ、コスト、システム可用性を監視するための運用ダッシュボードの追加により、継続的デリバリーを実現しました。
確実な配送が顧客満足の向上につながる
このプロジェクトの結果、流通プロセスのどのポイントにおいても、すべての車両の位置が事前に特定できるようになりました。このソリューションは、最初のロールアウトを実施し、最先端のクラウドネイティブアーキテクチャ上で実行され、現在では世界中で使用されています。このトランスフォーメーションプロセスは、さらなる結果をBMW Groupにもたらしています。たとえば：
- 車両の在庫やコンディションに関する最新情報を含む、流通プロセスの透明性を向上
- 車両に関する技術キャンペーンが発生した場合の即時介入を実現
- 車両が時間どおり、優れたコンディション、競争力のあるコストで目的地に到着するので、ディーラー、子会社、エンドユーザーにおける顧客満足度が向上
- 最適化されたルーティングと効率的な容量利用による持続可能性の確保
キャップジェミニとBMW Groupによるこのプロジェクトでは、新しい技術ソリューションの導入と、ビジネス要件に沿ったエンドユーザーダッシュボードの設計の両方を実施し、素晴らしい成果を残しました。このシステムは、データ駆動型サービスとクラウドテクノロジーを組み合わせることで、自動車流通プロセスのさらなるイノベーションに向けて高いハードルを設定しています。