キャップジェミニのワールド・ペイメント・レポート2021

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代替となる決済方法の利用が急増している中、銀行は競争に勝ち残るために、早急に次世代の決済方法を採り入れる必要がある

ワールド・ペイメント・レポート(World Payment Report 2021。以下WPR 2021)では、2025年までに、全世界の非現金取引の25%超が即時決済と電子マネー決済になると指摘しており、これは2020年の14.5%から増加しています。

【2021年10月7日、パリ発】キャップジェミニが本日発行したWPR 2021によると、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)と顧客のデジタル志向の拡大によって加速したトランスフォーメーションのタイムラインが先駆けとなり、決済は新たな経験主導型の時代(Payments 4.X[1])に突入しています。アジア太平洋地域(APAC)が世界をリードする中、デジタル決済オプションに対する需要はかつてないほど増加しており、迅速な取引決済、即時決済、電子マネー、フェイルセーフセキュリティ、および斬新なカスタマーエクスペリエンスに対する期待も高まっています。

同レポートによると、消費者の45%近くが頻繁にモバイルウォレットを使用して決済を行っており(年間20件超の取引)、2020年の調査の23%から増加しています。キャップジェミニではこの傾向がさらに進むと全世界のB2B非現金取引が2020年の1,215億件から2025年までに2,000億件近くに達すると予測しています。

キャップジェミニの金融サービス部門CEO兼グループ常務理事会メンバーであるAnirban Boseのコメント:「デジタル決済やモバイルウォレットが例外的ではなく一般的になることによって、決済プロバイダーはスピードと使いやすさに対する消費者の要望に応える手段を見つける必要があります。次世代の決済方法を採用するために、銀行は補完的なパートナーシップエコシステムを構築して、変化のスピードについていかなければなりません。」

消費の回復に伴う、次世代の決済方法による非現金取引の拡大

同レポートでは、2021年に消費が回復すると予想される中、非現金取引が増加し、即時決済、電子マネー、次世代の決済方法であるBNPL(Buy Now Pay Later:後払決済)、インビジブル(目に見えない)決済方法、バイオメトリクス(生体認証)、暗号通貨により、非現金取引が拡大すると指摘しています。8年間の2桁成長の後、パンデミックによる不安定な市況に対する抵抗による世界全体の非現金取引の拡大は、2019年の16.5%から2020年は7.8%まで減速しました。ただし、世界の非現金取引は次世代の決済方法に牽引されてCAGR(年平均成長率)18.6%(2020~2025年の予測)で成長する見込みであり、この期間が終わるまでにその件数は1兆8,000億に達すると予測されています。

APACはデジタル決済革命を世界的にリードしており、2025年までに世界の非現金取引の過半数を占め、2020から2025年にCAGRは28%に達します。2021年には、5億人を超えるヨーロッパ人がオンラインで買物をすると言われています(そのうち25.5%は越境EC)[2]。 ヨーロッパではモバイル決済と越境ECの増加により、2025年には13%のCAGR(2020~25年の予測)で4000億件を超える取引が行われ、この地域の活性化につながると予測されます。北米では、クレジットカード取引の拡大が停滞し、モバイル決済の普及が遅れていることから、非現金決済の件数は安定すると予測されます。

顧客の期待が高まる中、従来の決済インフラストラクチャの要件が拡大

デジタルの普及が加速する中、取引件数の増加と即時処理の要件によって、従来の決済インフラストラクチャが拡大されています。調査対象となった決済担当役員の約55%はテクノロジー投資の優先事項として、決済インフラストラクチャのモダナイゼーション(リアルタイム決済システムの実装、APIの統合、ISO 20022への移行、クラウドトランスフォーメーション)を挙げており、競争力を維持するためには、サービス提供者はデジタル機能を優先しなくてはいけません。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の世界的流行によって、小売・B2B決済がデジタルに移行し、顧客満足度の観点に加えて小売・B2B顧客のデジタル志向への意欲の間に大きな隔たりがあるということで、決済業界におけるカスタマーエンゲージメントの進化と見直しは続いています。同レポートには顧客の期待とペイメント責任者による決済の優先順位との間にギャップがある主な分野として、魅力的なロイヤルティー報酬、スムーズな取引体験、代替決済オプション、持続可能な決済商品などが挙げられています。

規制当局によるイノベーションと安全性のバランスの追求

決済サービス提供者は、決済に適した環境を促進および促進するための「主要な規制および業界イニシアチブ」(Key regulatory and industry initiatives: 以下KRII)への新しいバランスの取れたアプローチの恩恵を受けてきました。規制当局はKRIIを追跡して以来初めて、支払い環境内での均衡を維持するために、すべての主要な目的(リスク削減、標準化、競争と透明性、イノベーション)にわたってバランスの取れた行動をサポートしました。

KRIIは、効率性、顧客重視、革新、協業を巡る循環的なジャーニーを辿っています。独占禁止措置と透明性のあるデータ共有を通じて公平な競争の場を確保することにより、政策立案者はオープンファイナンスと調和する未来を示しています。同レポートによると、消費者の需要を満たすべくイノベーションを行う決済サービスプロバイダーは、規制に対するこのアプローチによる恩恵を受けることに注力する必要があると述べています。

決済企業はPayments 4.Xにより将来に備える必要がある

支出の増加が予測され、従来とは異なる決済方法が成長の兆しを見せている今、将来を見据えた企業は、データ、共有インフラストラクチャ、プラットフォーム機能、組み込みファイナンスなど、Payments 4.Xの要素を採用して優れた顧客体験を提供します。収益性計画に関して、ほとんどの決済企業の回答者は、革新的な提案を策定するための第三者への投資(52%)、APIベースのエコシステムの編成、プラットフォームベースのビジネスモデルへの移行(45%)などの運用モデル方法を選択しました。最も成功するであろう決済企業は、PayTechやエコシステムのパートナーと協力し、製品ではなくカスタマーエクスペリエンスに基づいたソリューションを入念に構築し、APIの成熟度、データ能力、および処理能力の強化がクラウドベースのアジリティと一体化し、これをきっかけに従来の取引の考え方から新たな収益化アプローチへと移行してPayments 4.Xを実現するでしょう。

調査手法

WPR 2021は、様々な国・地域に分布する44の決済市場に関するインサイトを提供しています。世界的なマクロ記述グラフについて、地理的、経済的、および非現金支払い市場の成熟度基準によってグループ化された、ヨーロッパ、北アメリカ、アジア太平洋、ラテンアメリカ、およびMEAの5つの地域を定義しました。本レポートは、世界中の6,300人の顧客への質問で得られた顧客の意見、および210人を超える決済担当役員へのインタビューと調査から得られた調査のインサイトに基づいています。

 

[1] 業界のさらなる統合に注目して、テクノロジーのエキスパートであるエコシステムプレイヤーを魅了する経験主導型の環境

[2] インターネット販売、 「ヨーロッパeコマースの2021年の売上は30%増の4650億米ドルに達している」(2021年7月時点)

E-Commerce News Europe、「ヨーロッパのeコマースの25.5%は国境を越えて行われている」(2021年3月31日時点)

Press release

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