ワールド・ペイメント・レポート2020: COVID-19は現金払い衰退の契機となるか?

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決済件数の伸び・消費者の行動変容・リスク増大が、新たなペイメントの土壌を生む

2020106日、パリ発

キャップジェミニは本日、ワールド・ペイメン・レポート2020を発表しました。それによると、決済業者はコロナで拍車がかかったトランザクション件数の拡大に対応し、競争の激化とリスク要因の先鋭化に直面する一方で、トランスフォーメーションへと急き立てられている現実が浮き彫りになりました。

キャップジェミニの金融サービス部門CEO兼グループ常務理事会メンバーであるアニルバン・ボーズは、次のように述べています:「COVID-19により、ペイメント業界内で「次のノーマル」を速やかに形成するためのイノベーション競争が加速しており、決済業者は一夜にしてデジタルマスターになることを求められています。決済業者は今こそ、スピードや利便性、優れたエンドツーエンドの顧客体験に裏打ちされ、差別化されたサービス内容を、お客さまに提供することが必要です。最新の情勢では、先見性ある複数の銀行・決済業者が、優先事項としてテクノロジーの最新化に鋭意取り組んでおり、「外部から調達してコラボする」アプローチを積極的に採り入れ、動きの早い新興プレーヤーと組んで、より機敏なチームを作ろうとしています」

決済件数は、パンデミック発生前の時点で史上最高レベルに達していて、今後もその傾向は続くと予想されます。但し、そのペースは現金以外の取引への依存性の高まりと、世界経済の落ち込みの両方を反映したものとなるでしょう。本レポートは、世界全体の非現金取引について2019-2023年の期間中に12%の年平均成長率 (CAGR) を予測しています。世界の非現金取引は、2018-2019年の期間中に14%近くも伸びて7,085億回の取引件数に達し、過去10年間で最高の成長率を記録しました。2019年は、アジア太平洋地域がヨーロッパや北米を上回り、2,436億回で非現金取引件数のリーダーとなりました。この動きを牽引したのはスマートフォン利用率の上昇、eコマース普及、デジタルウォレットの採用、モバイル/QRコード等の決済イノベーションであり、中国、インド、東南アジア諸国の各マーケット (31.1%の成長率) が主導しました。

競争の激化により、従来型の決済業者は進化を迫られる

デジタル決済への抵抗感が和らぐのに伴い、お客さまは現金から離れつつあります。新たなプレーヤーも急速にシェアを拡大しており、本レポートによると、顧客の30%がBigTech[1] の決済サービスを利用し、50%がチャレンジャー・バンク[2]を何らかの決済で既に利用しています。更に、2020年4月の時点で消費者の38%が、新しい決済業者をロックダウン中に見つけた、と回答しています。消費者アンケート回答者の68%によると、パンデミック期間中に好んで用いた決済方法はネットバンキングと口座への直接振込でした (今も継続中)。非接触型 (tap-to-pay) カードが次点に入り、回答者の64%が「頻繁に利用する」と答えました。デジタルウォレット (QRベースの支払方法を含む) は、回答者の48%にとって好ましい選択肢でした。

消費者がスピード・利便性・優れた顧客体験を求めるのに伴い、代替となる支払手段が勃興し、非現金決済業界は隆盛を続けるでしょう。デジタルウォレットの利用者は2019年の23億人から2024年までに40億人 (世界人口の50%) へ飛躍するものと見込まれます。非可視型の決済方法、又は自動化された支払プロセス (Amazon GoストアやUberが採用している) は、2017-2022年の間でCAGR 51%に達するペースを保っています。

高まるリスクに対処するため、決済業者はテクノロジーとコラボを活用すべき

マーケットで波乱含みの状態が続き、多彩な支払オプションが利用可能となるにつれて、決済業者はビジネス、規制、オペレーションの全ての面で、高まるリスクに対処しなければなりません。ペイメント業界の幹部社員達によると、各企業とも様々なリスク – サイバーセキュリティー (42%)、 規制関係 (37%)、 オペレーション系 (35%)、 ビジネス (30%) – に晒されています。回答した幹部社員の87%は、自社がサイバー攻撃の脅威増大に直面している、と感じています。これは、COVID-19によるロックダウンで露呈した脆弱性が犯罪者に悪用されると、サイバー攻撃・マネーロンダリング (資金洗浄)・テロ資金供給等のリスクが増すためです。決済業者は、新たなリスクに晒された状況の緩和に向けて、テクノロジーに積極的に活路を求めています。

各企業の財務・経理責任者は、パンデミックにより、ビジネスの諸課題や非効率(取引相手のリスク、接続性の解決、決済の自動化、サイバーセキュリティー等)に対処するための解決策として、デジタルと向き合わざるを得なくなりました。今や財務担当者は、主力の銀行や決済業者に対して、高度なAPIインテグレーション、リスク管理、リアルタイム決済、トラッキング機能等の提供を求めています。

各行の幹部社員が、お客さまに見えるイノベーション (79%)、 DX (75%) を2020年以降の戦略的取り組みを牽引するトップ課題と位置付けた一方で、ペイメント・トランスフォーメーションも避けて通れない状況です。規制当局は (特に) 非現金決済に伴うリスク対処に注力しており、コロナで先行きが見通せない中、かかる改革の一環としてコラボレーションが役に立ちます。銀行は、デジタル・フロントエンドの進化に追従でき、よりリーン (簡素) でアジャイル性に富むバックエンドを実現するため、自行内で人材を育成するか、それともデジタルを得意とする新規プレーヤーと提携するか、2つのやり方の間で懸命に模索しています。社内での能力開発に加えて、銀行幹部の60%は、バリューチェーン全体を通じてサードパーティーと連携することが、エコシステムを基盤にしたビジネスの発展に資するものと捉えています。

調査手法

今年のワールド・ペイメント・レポートは、様々な国・地域に分布する44のペイメント・マーケットに対する洞察・気づきを提示しています。世界全体のマクロな情勢を記述するため、ヨーロッパ、北米、APAC先進国、アジア新興国、ラテンアメリカ、中東・アフリカの6地域を定義し、地理・経済・非現金決済マーケットの成熟度という基準に沿ってグループ化しました。8,600名超のコンシューマが、本レポートの「消費者の声」調査に参加しました。銀行、フィンテック、決済サービス業者、企業に対しても追加でオンライン調査を行い、235名の回答者からデータを採取しました。また銀行、決済業者、カード会社、テクノロジーサービス業者、リテール業者のエグゼクティブ45名に対しても、インタビューを行いました。

キャップジェミニについて

キャップジェミニは、コンサルティング、デジタルトランスフォーメーション、テクノロジー&エンジニアリングサービスのグローバルリーダーです。キャップジェミニ・グループはイノベーションの最前線に立ち、進化を続けるクラウド、デジタル及び各種プラットフォーム分野で、顧客のあらゆるビジネス機会に対応致します。キャップジェミニは、50年以上にわたり蓄積してきた優れた実績と業界固有の専門知識を基に、戦略から運用まで、弊社の一連のサービスを通じて、顧客企業が目指すビジネスビジョンの実現をご支援致します。キャップジェミニの信念は、「テクノロジーに関わるビジネス価値は人を通じて具現化される」ことであり、この信念こそが弊社の原動力となっています。キャップジェミニは、世界約50ケ国27万人に及ぶチームメンバーで構成される多文化企業です。Altranを含むグループ全体の2019年度売上は、170億ユーロです。

キャップジェミニ株式会社については、以下をご覧ください。
www.capgemini.com/jp-jp/
People matter, results count. 

[1]本レポートでは、大規模な多国籍テクノロジー企業 (Google, Amazon, Facebook, Apple, Alibaba等) をBig Techと定義する。

[2] チャレンジャー・バンクとは、新規に設立され、自前のコアバンキング・システムを有し、大手銀行が十分にサービス提供できていない分野に特化することで、従来型の銀行と直に競合する銀行をいう。例: NuBank, Chime, Monzo等。

Press Release

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