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Client story(導入事例)

フォルクスワーゲン・グループ、独・モビリティデータスペースの立ち上げを促進

クライアント: Volkswagenグループ、Audi AG
地域: ドイツ
業界: オートモーティブ

キャップジェミニ・インベント、独・モビリティデータスペースの立ち上げにおけるVolkswagenグループの取り組みを支援。初の車両データのユースケースを企画・開発し、新モビリティエコシステム参画企業によるデータスペース活用を促進


クライアントの課題: VolkswagenグループとAudiは新たなプロセスを適用して短期間に、モビリティデータスペース(※1)のデータベース活用ユースケースを立ち上げる必要がありました。

ソリューション: キャップジェミニ・インベントは、Volkswagenグループのデータスペース・エコシステムへの取り組みにおいて、ユースケース開発とプロジェクトマネジメントを担い、VolkswagenグループならびにAudiを支援しました。

成果:

  • 集計データのユースケースを成功裏に開発し、モビリティデータスペースの参画企業に提供
  • Volkswagenグループのデータ部門と、同グループ会社のAudi間の協働を成功させるための基盤を整備

データは自動車業界に、公益となる新たなビジネスの潮流と機会を生み出しています。Volkswagenグループは、ドイツ連邦政府が設立を主導したモビリティデータスペースの創設メンバーです。欧州のセキュアな連合データインフラストラクチャとして知られるGaia-Xの取り組み同様に、モビリティデータスペースはドイツで設立されたデータ共有コミュニティです。市場のあらゆるプレーヤーに、データ共有マーケットプレイス(※2)上の関連データへの公平かつ透明性の高いアクセスを提供することで、イノベーション・持続可能性・ユーザーフレンドリーなモビリティコンセプト(※3)が育まれる環境を促進することを趣旨としています。

Volkswagenグループの戦略目標は近年変化しており、純粋な製造業から、持続可能でソフトウェアドリブン/データドリブンなモビリティプロバイダーへの転換が重視されています。これは、自動車業界の他社OEMにも共通する変化です。さらに、提供元の異なるデータを組み合わせてこそ革新的なモビリティサービスを創出できることを踏まえれば、既存のデータサイロは打破しなければなりません。モビリティデータスペースは、モビリティ分野のプレーヤーの誰もがデータエコノミーに簡単にアクセスできると同時に、参画者に各々のデータ主権が確保されていることを保証するソリューションを提供します。

集計したデータを公益に役立てる

モビリティデータスペースの始動後、Volkswagenはさらに発展させることができると考え、成功のカギを握るのはユースケースの開発・提供だと認識しました。同社は、グループ会社のAudiが大規模にセンサーデータを供給できる車両を保有している上に、車両データの活用に豊富な実績があることも認識していました。一方、Audiは幅広い製品ラインアップのさまざまな車両により欧州で生成されたデータを保有しており、新たなデジタルサービスを実現して顧客価値を向上させたいと考えていました。そうすることで、ドイツの公道ははるかに安全になり、交通事故死ゼロを目指すEUの「ビジョン・ゼロ」政策を支援できます。

初のユースケースを構築 

Audiのデジタルビジネス事業における長年のパートナーであったキャップジェミニ・インベントがデータ分野の主要パートナーに選ばれました。Audiとキャップジェミニ・インベントは連携して、Volkswagenグループ内にモビリティデータスペース向けのプロジェクトマネジメントとコラボレーションモデル(※4)のチームを立ち上げました。併行して両社はVolkswagenグループと協働して、ユースケースを構築し、タイトな期限内に確実に納品できるようプロジェクトを管理し、モビリティデータスペースに持続可能な顧客価値/ビジネス価値を生み出せるよう支援しました。

2021年2月から2021年10月半ばまでの僅か7か月間余のタイトなスケジュールの中で、モバイルデータスペースの価値実証に向けて、さまざまなステークホルダーを調整・管理するためには協力体制が不可欠でした。コラボレーションモデル(※4)を適用し、Volkswagenグループのデータ部門、Audi、キャップジェミニ・インベント、モビリティデータスペースの担当者が緊密に協働し、関係する全てのステークホルダーとの調整を効率的に進めました。

Audiとキャップジェミニの共同プロジェクトチームによる最初のユースケースの一つが、「Local Hazard Information(ローカルハザード情報)」です。両社はプロジェクトマネジメントのプロセスに従い、Audiフリートの車両センサにより収集された道路交通上の危険に関するイベントデータを集計して提供するソリューションを開発しました。このデータは、事故・車両故障・駆動力喪失、大雨や濃霧による視界不良などのイベントに基づくものです。モビリティデータサービスにアクセスできる多数の法人顧客が利用でき、例えばナビゲーションサービスでは、ドライバーにほぼリアルタイムで危険箇所を警告し未然の対応を促すことができます。

Volkswagen、Audi、キャップジェミニ・インベントは、初期のこの成功によって、アプリ開発会社・道路交通当局・気象サービス・保険会社・自動車部品メーカーに向けた、さらなるアプリケーション開発の可能性を実証しました。このユースケースは、モビリティデータスペースの潜在的な影響力 ―官民モビリティプロバイダーのデータを関連付けることで、より円滑かつユーザーフレンドリーで安全なモビリティをドイツをはじめ欧州で実現できる将来性も含めて ― を効果的に示しています。

データの力を活用する

Volkswagenグループのデータ部門は、プロジェクトマネジメントのフレームワークに従ってキャップジェミニ・インベントと協働し、創設メンバーとしての責務を果たしました。こうしてモビリティデータスペースのプロセスが構築され、ITS世界会議(ITS World Congress)で滞りなく発表されたのです。

Volkswagenグループのデータ部門はモビリティデータスペースにおいて、顧客のデータプライバシーを保護しつつ、全グループ会社が他社OEM・交通管理システム・道路交通当局などの大規模なデータベースにアクセスできるようにする役割を担っています。以下のようなメリットが期待されています。

  • より精度の高い情報
  • 潜在的なデータ購入者に直接連絡を取れること
  • データ仲介機能の一元化による、円滑なデータ交換 
  • 複数のソースから得られる、データプロダクトの標準化 
  • データ共有コミュニティとのビジネスモデルの共同開発

(※1)モビリティデータスペース:ドイツ政府が推進する、モビリティデータを連携・共有するための基盤

(※2)データマーケットプレイス:ネットワーク上でプロバイダーと消費者がデータを売買する場

(※3)モビリティコンセプト:モビリティの未来に対する構想

(※4)コラボレーションモデル:プロジェクトに関わる組織やメンバーがひとつのチームとして連携して取り組むことで、効率・スピード・品質を高める開発手法