高価値なリサーチプラットフォームで、エンゲージメントを向上
世界最大規模の金融機関であるこの銀行は、英国を本拠地とし、多様な金融サービスの提供を通じて幅広い層の顧客をサポートしています。全世界に多くの従業員を擁し、主要な金融ハブで強い存在感を確立しています。
同行は、広範囲にわたるオフ・プラットフォームのコンテンツ利用に対応する一方で、幅広い層の利用者にインサイトや調査結果を公開しているセルサイドのリサーチプラットフォームのエンゲージメント率・各レポートの購読数・サイト全体の訪問数を改善したいと考えていました。
キャップジェミニは、より詳細に状況を把握するるため、ユーザー行動分析を実施しました。その結果、直帰率が高く、検索の失敗や解約が多いこと、またそのサブスクリプションの大半が内部で発生していることが判りました。また、顧客からのフィードバックでは、顧客がプラットフォーム上の有益なリサーチ情報に適切に関与できる優れた顧客体験を求めていることが明らかになりました。
同行はこうしたインサイトを踏まえて、プラットフォームを自社中心から顧客中心のアプリケーションに、さらにコンテンツマネージメントシステム(CMS)をカスタマイズされたレガシーシステムからベスト・イン・クラスのエンタープライズCMSに移行することを決定しました。新たなCMSでは、AEM(Average Effective Maturity)/ Reactに統合されたAPP(Accelerated Payment Program)を使用して現行のインフラをサポートします。
顧客のペルソナと変革の道筋を特定する
セルサイドのリサーチプラットフォームのデジタルインターフェースを改善しカスタマイズして、最高のカスタマージャーニーを提供できるように、キャップジェミニは顧客体験の変革を包括的に支援しました。まず、詳細なペルソナを明確にするために、関係者とのインタビュー、多様な顧客層との広範囲にわたる意見交換から取り掛かりました。そこから、具体的な行動パターンやニーズ、動機を明らかにしていきました。こうした知見は、プラットフォームに不可欠な機能の一覧を作成する上で、鍵となる重要な要素です。
こうした知見が、事業に対する深い理解と相まって、重要な戦略的決定事項のマッピングに活かされました。ビジョンステートメントを作成し、プラットフォームの将来像と想定される状況に必要な役割を特定しました。
戦略的意思決定を経て、同行はキャップジェミニと協働して、訴求対象のペルソナの際立った嗜好や選好性を満たす体験や機能、商品を考案・設計し、プラットフォームの将来像を概念化しました。その後の調査セッションを通じてこのビジョンをさらに検証し、顧客満足度とエンゲージメント向上の精度を高めました。
こうしたあらゆるインサイトを踏まえて、プロジェクトチームは、直感的なサブスクリプションプロセス、パーソナライズされたエンゲージメント、ユーザーフレンドリーなナビゲーションを特徴とする、顧客中心のアプリケーションを構築しました。このアプリケーションは、module federationフレームワークを備えたAEM/Reactアーキテクチャで構築されており、既存の構造を補完すると同時に、追加された100以上のコンテンツプロバイダーの独立した運用と、各々のリリース管理をサポートします。
顧客を魅了し、競合を凌駕する
セルサイドのリサーチプラットフォームは、300名以上の世界中のアナリストからのインサイトに基づいて開発されており、訴求対象をセグメント化しカスタマズして、顧客エンゲージメントの向上を図ります。顧客の特定のニーズを満たすコンテンツを提供することで、プラットフォームのレリバンス(※3)と価値を高めることができるでしょう。搭載されたシステムの独自機能は、競合他社のシステムやアグリゲータの顧客をも魅了するものです。同行は結果として、データ管理の一元化や柔軟性が強化されたことによるメリットを享受できるようになります。
プラットフォームには、リサーチイベントやアナリストのコンサルサービスといったクロスセル/アップセル商品への、優れた集客・誘導フローが組み込まれています。また、拡張性を見据えた設計となっており、将来の成長やイノベーションへの備えや、金融サービス業界の需要の進化にも対応できます。
最初のミニマム・バイアブル・プロダクト(※4)のリリースを2024年第4四半期に予定しています。同行のデジタルトランスフォーメーションの大きな成果を示すものとなるでしょう。世界中の顧客にこのソリューションが展開された後も両社は共に、デジタルエコシステムのさらなる拡大を図り、新たな機会を模索していきます。